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建学の精神


生命の尊厳と隣人愛

長谷川 保 直筆のレリーフ

「隣人愛」とは、「自分のようにあなたの隣人を愛しなさい」という聖書の教えに示された愛の心です。聖隷学園は、創立以来この隣人愛と生命の尊厳を基本理念として、保健医療福祉分野の専門職の育成に取り組んできました。その原点は、1930年に浜松のクリスチャンの若者たちが建てた結核患者のための小さな病舎にさかのぼります。目の前で苦しんでいる人のために、自分自身が感染するかもしれないという状況のなかで無償の愛を捧げたこの行いが、今日、日本有数の医療・福祉・教育集団となった聖隷グループのすべての事業の始まりなのです。混迷する現代社会のなかで、人と共にあり、その不安や苦痛、悲しみを理解し、共に生きることを人生の喜びとする。聖隷クリストファー大学では、先人たちによって示された愛と奉仕の精神を受け継ぎ、地域に貢献し、国際社会においても活躍できる専門職を育成しています。

聖隷とは

「ペテロの足を洗うキリスト(Ford Madox Brown/1856年)」
(聖隷歴史資料館内)
©Tate,London 2002

新約聖書のヨハネによる福音書第13章に、最後の晩餐のとき、キリストは「食事の席から立ち上がって上着を脱ぎ、手ぬぐいを取って腰にまとわれた。それから、たらいに水をくんで弟子たちの足を洗い、腰にまとった手ぬぐいでふき始められた。……」とあります。当時、人の足を洗うことは奴隷の仕事でしたが、キリストは弟子たちに行動をもって最後の教えを示しました。「聖隷」の名はこの個所に由来しています。
聖隷の創立者・長谷川保たちは、奴隷の形をとって弟子たちの足を洗われるキリストの姿をクリスチャンの理想の生き方と考え、社会事業を目的として聖隷社を創立。ここから「聖隷」の歴史が始まったのです。

大学名の由来

「クリストファー(Christopher)」とは「キリストを運ぶもの・担うもの」を意味し、3世紀半ばごろの半伝説的な殉教者の名前です。彼は少年に姿を変えたキリストをそうとは知らずに背負って川向こうまで運ぶのですが、その少年(キリスト)は世界のすべての罪と苦しみを背負い、誰よりも重かったのです。以後、「クリストファー」はキリスト教の精神を担うことの高貴さを表す名称としてヨーロッパ諸国に広まりました。聖隷の創立者・長谷川保は、クリストファーがキリストを背負ったように、病人や障がい者、お年寄りの不安や苦痛、悲しみを理解し、大事にケアする人が本学から育ってほしいとの願いから「聖隷クリストファー」と命名しました。

シンボルマークの由来

外側の二重円は、最後の晩餐でキリストが弟子たちの足を洗った「たらい」を表現。内側の3つの円は、聖隷グループが使命とする医療(赤)、福祉(緑)、教育(青)を象徴。中央の十字架はキリスト教を示し、すべての事業がキリスト教会の中から始まったことを表しています。故アルバート・アットウェル博士(アメリカ人、1978~1981年聖隷学園に奉職)により、1980年に聖隷のシンボルとして考案されました。