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教員リレーエッセイ

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生命の尊厳と幸福を追求する「人間の科学」


2021年4月28日更新
教員リレーエッセイが始まります。読者の皆様には、本学教員がどのような思想や理論や実践経験を有し、どのような研究・教育活動を行っているか、興味関心を深めていただければ幸いです。
本学の研究・教育のテーマを一言で表すと「人間の科学」であるといえます。本学は看護学部・リハビリテーション学部・社会福祉学部の3学部と、その上に博士前期課程・博士後期課程の3研究科を備えた保健医療福祉と教育の総合大学です。各学部・研究科の教員は自然科学・人文科学・社会科学等の諸学を背景として、生命の尊厳と人間の幸福を追求する実学研究を展開しています。
現在私たちは、新型コロナウイルスの感染拡大の渦中にいます。そのような中で、私たちの生命と生活に直結する保健医療介護システムの崩壊や、貧困や格差の問題などが浮き彫りになっています。それは、経済合理主義や能力主義に偏重し、自然の摂理を無視した人間の欲望が人類を襲う深刻な事態を招いている証しではないでしょうか。今日、私たちの生活は科学の発展の恩恵を受けて便利で豊かになりましたが、その一方で、生きがいや精神的な豊かさへの希求も高まってもいます。今私たちは、人の生命と生活と幸福を重視した価値観や政策の転換に向けた重要な岐路に立っていると言えます。
そのような精神的に豊かな社会の実現には、生命の尊厳と人間の幸福を追求する「人間の科学」の構築が求められます。それには、人間の弱さを人間理解の基本とした人間観に立脚し、自然との調和、生と死、身体と精神、健康と病気や障害、生活と社会を研究対象として、多面的かつ包括的に人間の存在を探求することが重要です。その実践が、保健医療福祉と教育の実学です。「人間の科学」は、保健医療福祉と教育の実践と研究の連環によって構築し得ると考えます。この教員リレーエッセイは、各教員の保健医療福祉と教育分野の教育と研究と実践によって培われた「人間の科学」の構築に向けた努力の成果であり、より豊かに生きることへの指針でもあります。