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教員リレーエッセイ

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あなたの体格はダイエットが必要ですか?体重だけではあなたの身体の質は分かりません!


2024年6月10日更新
 先日知人から、幼稚園の子どもたちまでもが「やせたい」と言っている、という話を聞き、ダイエットの波がここまで押し寄せて来たのかと、女性の健康の支援者である助産師としては、早急になんとかしなくてはと焦りを感じています。
 女性の美しくなりたい、きれいになりたいという気持ちは誰にでもあり、メディアに登場する女優の、スラっとした細身で輝いて活躍している様を見て憧れを抱くのも当然です。そこにダイエット商品のCMの煽りも受けて、やせていること=健康、美しい、成功者、といったイメージが刷り込まれ、やせる必要のない若い女性までもがダイエットに駆り立てられてしまいます。しかし、食事を摂らないことで、手早く体重を減らすことには落とし穴があります。適切な食事を摂らないことで、若い女性の3~4割が、一見やせて見えても身体は肥満者のように体脂肪が多い「かくれ肥満」状態になっています。
 「日本人の栄養摂取基準2020」によると、18~39歳の女性で身体活動量が普通の人の推定エネルギー必要量は約2,000kcal/日ですが、私の調査では、この年代の女性のエネルギー摂取量の平均が1,342kcalとかなり不足していることに加え、様々な栄養素の摂取量も不足し、飽和脂肪酸と食塩は過剰摂取でした。また運動習慣のない女性は84%に上りました。さらに妊婦のエネルギー摂取量は妊娠中期・後期共に約1,500kcal程度で妊娠期に妊婦が追加して摂取すべきエネルギー量も不足していました。
肥満は、高血圧や糖尿病、脳血管障害、心筋梗塞などの生活習慣病を引き起こす要因となることは広く知られていますが、栄養素の摂取不足や極端なダイエットは、炭水化物の摂取不足による便秘、鉄分の不足による貧血、またカルシウムやビタミンDの不足から骨粗鬆症になるリスクに繋がるだけでなく、最近の研究では、やせている女性でも糖尿病になることが報告されています。また女性は体脂肪率が22%以上ないと規則的な月経を維持できないと言われています。更に若い女性や妊婦の低栄養は胎児の発育に影響があり、子どもの将来の生活習慣病のリスクに繋がると危惧されています。
 人生100年時代、自分の身体を健康に保ち100年活動するためには、若い時からの栄養の蓄積と運動の習慣が何よりも不可欠です。自分の体格を客観的に評価し、適切な体重を維持できるようにする必要があります。あなたの体格にはダイエットが必要ですか?