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教員リレーエッセイ

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「感覚」とは?


2024年7月10日更新
 「感覚」とは、私たちが目や耳、皮膚や筋肉などを通して外部からの情報を受け取り、その信号が神経を通って脳に伝わり処理されることで生じる認識とされます。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感が代表的な感覚ですが、温度や痛み、平衡感覚なども含まれます。これらの感覚は、外部からの刺激を受け取ることで始まりますが、実際にはそれをどう感じるかは脳の命令によって調節されています。
 例えば、同じ温度でも状況によって寒く感じたり暖かく感じたりすることがあります。あるいは錯視といって本来真っ直ぐな線が曲がって見えたりすることがあります。これは脳がその時の状況や過去の経験、周りの環境を基にして、感覚を調節しているためです。感覚は単に受動的に外界からの刺激を受け取るものではなく、脳が積極的にその刺激を評価し、適切な反応を導くために常に調節されています。
 痛みもまた、感覚の一つであり、そのメカニズムは非常に複雑です。痛みは体のどこかに損傷が生じた際に、その情報が脳に伝わることで生じます。しかし、痛みの感じ方やその強さもまた、脳の命令によって調節されています。慢性的な痛みや幻肢痛などは、実際の損傷がない場合でも脳が痛みを感じる原因となることがあります。このように、痛みは単なる身体的な反応ではなく、心理的な要因や環境的な要因も大きく影響します。
 現在、私は感覚や痛みについての研究を行っています。特に、新生児における感覚や痛みと成人の痛みに対するアプローチに焦点を当てています。新生児は成長過程で感覚が発達する段階にあり、その過程を理解することは将来的な健康管理や治療において非常に重要です。また、成人においては約5人に1人が慢性的な痛みを有するといわれており、そのような人に対して効果的な治療方法を探ることは重要な課題であると思います。
 これらの研究を実践することでより効果的な治療法や管理方法を開発し、QOL(生活の質)を向上させることが期待されます。この分野での研究を通じて、少しでも貢献できるよう努力していきたいと思います。