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教員リレーエッセイ

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労働者の健康とパフォーマンスを高めるために


2024年8月10日更新
 皆さんは何のために働きたいと思いますか?お金や生活のためでしょうか。それとも、自分のやりたいことを実現するためでしょうか。
 私はこれまで、精神障害をお持ちの方の就労や職場復帰について研究してきました。その結果、障害を持つ方が安定して働くためには、いくつかの重要な要素があることが分かりました。それは、スキルや経験だけでなく、自分のペースを守り、オーバーワークにならないことや、周囲のサポートを求めること、そして自身のストレスに気づくことなど、自分自身の健康を保つ「働き方」が大切であるということです。
 人は仕事を通じて、経済的な安定を図り、他者との人間関係を築くことで職場という組織に安心感を持ち、自己実現を目指すとされています。何の仕事をするかも重要ですが、「どのように働くか」によって、その人の仕事に対する幸福感は大きく変わると考えられます。
 労働者のパフォーマンスや幸福感に関する研究は、以前から行われています。1930年代にはホーソン研究が実施され、労働者のパフォーマンスを高めるのは作業時間などの物理的条件ではなく、職場の人間関係であることが示されました。その後の研究では、労働者のモチベーションを高める要因として、やりがい、責任、成長が重要であることが示されています。近年では、ワークエンゲージメントを高めることで従業員のパフォーマンスが向上し、心身の健康度が高まることが示されています。ワークエンゲージメントとは、仕事に対する肯定的で充実した感情や態度のことです。
 企業が従業員の心身の健康に配慮するだけでなく、組織として労働者の活力を高める取り組みがますます重要になっています。現在では、過労死やメンタルヘルス不調を防ぐために働き方改革が進められ、企業において従業員の健康を守る取り組みが推進されています。「健康経営」などはその代表的な取り組みです。多くの企業が活躍する浜松では、こうした組織作りが労働者の健康やパフォーマンスを増進させ、企業や産業の発展につながるのではないでしょうか。