グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ


教員リレーエッセイ

ホーム >  教員リレーエッセイ >  「知的障害者の高齢化に伴う現状と課題」は生涯テーマ

「知的障害者の高齢化に伴う現状と課題」は生涯テーマ


2024年11月10日更新
 わたしが取り組む研究テーマは、「知的障害者の高齢化に伴う現状と課題」です。元々、教員の仕事に就く以前は、直接援助を行う実践者(介護福祉士)として知的障害者関連の福祉現場に携わっていました。実は、その当時(1990年代後半)より、このテーマに関心を持ち続けていました。
 福祉現場にて関わっていた知的障害のある人たちのなかに、60歳代以上の方が何人かいらっしゃいました。そうした状況下で、「知的障害に対する支援」と「高齢による介護」の双方の必要性を体感しながら、実践者として携わっていました。後に、働きながら大学院に進学したわたしは、知的障害の高齢化に関連する研究をテーマに、使命感を感じながら取り組みはじめました。知的障害者の高齢化には、必要となる医療や介護、家族、環境整備、何より「本人が住みやすい社会の構築」など、課題が山積しています。
 しかし、今になって思えば、このテーマに取り組む最もとする理由は、自分の家族にルーツがあるからだと思います。それは、わたしが知的障害のある妹をもつ「きょうだい」だからです。
 一方、わたし自身が福祉現場の実践者になりたいと希望した(進路を決めた)のは大学生の時です。当時、なかなか進路が決まらずにいたわたしは、里帰りの際、妹が病気を患い治療の様子を両親から聞きました。妹は激痛を伴う治療を受けた際、決して大声で泣かずに「痛くない」と囁きながら涙を浮かべて耐えていたそうです。実は治療の際、医療機関の介助者が傍に付き添いながら手を握ってサポートしてくれたそうです。その話を聞いた時、当事者から「傍にいてほしい」と思ってもらえる「実践者になりたい」と考えました。わたしの進路が決まった瞬間でした。
 大学生時の個人的な話となりましたが、わたしは今でも、大学は学ぶだけではなく、様々な人と出会い、経験し、色々と悩み考える重要な時期であり場所であると考えています。また、その時間は人生においてとても貴重だとも考えます。機会があれば、ぜひ高校生の皆さんも大学の扉を開けてみませんか?新しい何かが見つかるかもしれません。
 現在、妹もわたしも50歳代、両親は80歳代です。引き続き、わたしが取り組む研究テーマは、生涯テーマであることは間違いないようです。